元素の存在度について
地球スケールで考えて、地殻や地球、太陽系の中に存在する元素の平均の濃度のことを元素の存在度という。
元素の太陽系存在度について
太陽や地球は、その原料は原始太陽系星雲であると考えられている。太陽の中心部分は核融合反応が起こっているが、太陽の表面部分は、太陽系が生成したときの状態を維持していると考えられている。この太陽の表面部分のことを太陽大気という。
太陽大気の元素の組成は、スペクトル分析や炭素質コンドライトとよばれる隕石の分析によって、詳しく分かっていると考えられている。
この太陽大気の元素の組成を元素の太陽系存在度という。元素の太陽系存在度はケイ素原子を106個としたときの相対的な原子の数で表される。
元素の太陽系存在度は、原子番号が増加すると、その存在度は指数関数的に減少する。つまり、原子番号の大きい元素の存在度は小さい。
ただし、原子番号40番以降は、ほぼ一定となる。また、鉄とニッケルの存在度は、その周辺の原子番号の元素より大きく、リチウム、ベリリウム、ホウ素は逆に存在度は小さい。
原子番号が偶数番号の元素は隣り合った原子番号が奇数番号の元素よりも存在度が大きい。これはオッドー-ハーキンズの法則といわれるものである。
オッドー-ハーキンズの法則は、原子番号が小さい元素を除くと、実際の傾向と一致している。
地球の元素の存在度について
地球の元素の存在度は、太陽大気から揮発性元素を部分的に取り除いたものと一致する傾向がある。揮発性元素とは、地球の原料物質が凝集した条件下で気体の単体もしくは化合物として存在していた元素である。代表的なものは、希ガス元素である。
希ガス元素は地球が生成する過程で大部分が失われ、現在の大気中の希ガス元素は、地球が生成した後に、地球内部から供給されたガスによるものであると考えられている。
地球に存在する不揮発性元素は、太陽大気の組成がそのまま反映されている。特にランタノイド元素では、オッドー-ハーキンズの法則が成立している。
元素の地球での地殻存在度は、地球の表層の部分のみを表し、地球全体の0.4%である。これは大陸部分では厚さ平均35 kmであり、海洋部分では厚さ5~10 kmである。
また地球表面下約16キロまでの元素の存在比を質量百分率で示したものをクラーク数という。
この地球での地殻存在度が重要視される要因は、地殻の元素は人類が利用できる範囲に存在する元素であるからである。