化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

絶縁体について

絶縁体について 固体はその電気伝導性によって、金属、半導体(semiconductor)、絶縁体(insulator)の3種類に分類される。 ダイヤモンドは絶縁体である。ダイヤモンドは原子軌道同士の相互作用がゲルマニウムやケイ素よりもさらに強いためバンドギャップが大き…

半導体の分類と電気伝導性について

半導体について 固体はその電気伝導性によって、金属、半導体(semiconductor)、絶縁体(insulator)の3種類に分類される。 半導体である物質としては、ケイ素やゲルマニウムのような単体、酸化チタンのような金属酸化物、硫化カドミウムのような一部の金属硫化…

金属の電気伝導性について

金属の電気伝導性について 固体はその電気伝導性によって、金属、半導体(semiconductor)、絶縁体(insulator)の3種類に分類される。 金属のエネルギーバンドの特徴は、電子を含むエネルギーバンドのうちエネルギーが最も高い部分が一部しか専有されていないこ…

ウィーデマン-フランツの法則と電気伝導性、熱伝導性について

ウィーデマン-フランツの法則について 金属の性質の一つに熱をよく伝えるというものがある。一方で絶縁体は熱を伝えにくい物質である。 金属の熱伝導性が高いのは、自由電子が熱エネルギーのキャリヤーとなるからである。 金属を局所的に加熱した場合、その…

アレニウスの酸塩基とブレンステッドの酸塩基とルイスの酸塩基について

アレニウスの酸と塩基について 酸(acid)とは水溶液中で水素イオンH+を解離によって放出する物質であり、塩基(base)は水溶液中で水素化物イオンOH-を解離によって放出する物質である。 この定義により決められた酸・塩基のことをアレニウスの酸・塩基という。…

超酸とハメットの酸性度関数について

超酸について 超酸(super acid)とは、純粋な硫酸よりも強い酸性の溶液のことをいう。 水溶液系では、酸性度を表す尺度としてpHが使われるが、超酸のような非水溶媒の酸性度はpH以外の方法で酸性度を表す。なぜなら、pHは0~14の範囲で意味をもつが、超酸は非…

AI・機械学習による化学反応の条件の予測

AI・機械学習と化学物質の合成 近年の科学技術の発展の中でもAIや機械学習は注目されている分野ではないでしょうか。 Nature誌に2016年に機械学習と化学物質の合成に関する研究が報告されています。 Machine-learning-assisted materials discovery using fa…

分光化学系列と配位子の電子供与、逆供与について

分光化学系列について 錯体の吸収スペクトルでは、可視部領域付近の弱い吸収帯の吸収極大波長が、配位子によって規則的に変化することが発見された。この遷移はd-d遷移であり、その遷移のエネルギーは配位子場分裂に対応している。そのため、強い配位子場を…

アダムソンの規則について

アダムソンの規則について アダムソンの規則(Adamson's rule)とはCr(III)錯体の光アクア化を総括して得られた、どの配位子が置換するかという経験則である。光アクア化反応とは、水に溶かした錯体に光照射したときに、配位子が水で置換される反応である。 ア…

江戸時代の硝石の製造について

黒色火薬について 黒色火薬は硝酸カリウム、硫黄、木炭の混合物である。硝酸カリウムのことは硝石や塩硝ともよばれていた。近代火薬が発明される以前は、黒色火薬が唯一の火薬であった。 日本では硝石は産出しないため、江戸時代に鉄砲を利用するためには、…